...pudding - diary

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2010-06-11

_ [星空] はやぶさちゃん

昨日のクローズアップ現代(NHK)録画しておいたのをみた。

小惑星イトカワまで行って帰ってくる、はやぶさの解説だった。

頑張った、すごい、というメッセージを伝えたいのは分かるけれど、具体的に何がすごいのかが伝わらなかった気がする。数々の技術者の努力みたいなところは、簡易な言葉でさらっと流されてた。

うん、少し肩すかしだった。
 

トラブルがあったけどどうにかした。トラブルがあったけどどうにかした。

そんな曖昧な言葉を何度も言われたら、知らない人がきいたら、まるで不良品を打ち上げたみたいじゃない。

放送時間が少ないのなら、うまくいったところだけを取り出しても良かったんじゃないかな。イオンエンジンの長時間運転、小惑星への自律運転、タッチダウン、帰還。そして長時間にわたり運転したデータの蓄積。成果を伝えようよ成果を。

苦労を伝えるのが目的だとした場合、全然苦労感が伝わってこなかったし、技術力を伝えるのが目的だとしても、うまくいってるふうには見えてなかった。

はやぶさをとりまくいくつかのキーワードを断片的に切り貼りしただけのようなイメージ。

スタジオに出てた的川氏も「全体を見通して」って言ってたじゃない。

苦労感を出すならもっと長い枠で、プロジェクトXみたいにドラマチックに、いかにして問題を切り抜けたか、って仕立ててくれたら良かったなあ。
 

2002年、「星の王子さまに会いに行きませんか」というキャンペーンがあった。

はやぶさに搭載されたソフトボール大の玉「ターゲットマーカー」というものがある。イトカワにタッチダウンするときの目印にするために、着地前にイトカワにぽい、ぽい、と置いておくのだ。

このターゲットマーカーの内側に包み込まれる二枚の薄いメタル箔がある。ここにキャンペーン応募者の名前を印字してくれるというのだ。もちろん応募した。

確か80万人ほどの名前がとても小さな字でびっしりと印字されているはずだ。そしてそれは今もイトカワに静かに転がってる。

悲しいかな日本国民の宇宙開発にかける情熱というのはそんなに大きなものではないらしい。

80万人集まった名前のうち50万人は、早くからこのプロジェクトを評価してくれてた外国の人たちの名前だ。

日本人は半分にも満たないんだよ。自国のプロジェクトなのに。多分マーケティングというかメディアへの露出が少なかったんだと思うけど。あんまり派手に宣伝すると無駄遣いって言われる分野だしね。

でも、自分の名前が書いてある物体が何年もかけて地球から2億9000万km離れた小惑星に運ばれたなんてとても不思議な気分。

そして、あと少しではやぶさが地球に帰ってくる。帰りみち、大気圏を通るときにその熱に耐えきれず燃え尽きる。サンプルリターン用のカプセルだけを残して。寂しいけど、ここまで成果をたくさん残したというのはすごいことだと思う。

物理的なモノだけじゃねえんだ。記録、軌跡、たくさんの貴重なデータが残ってる。そのぜんぶがはやぶさだ。

それを燃え尽きさせちゃならない。次に役立って欲しい。


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