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2012-09-01
_ [いろいろ] 多摩川民なら梨を食え
多摩川沿い(西側)は梨の産地となっており、今の季節は府中街道や鶴川街道を通ると道ばたの小さな小屋で梨を売っている風景をよく見かけるかと思う。気になる。梨好きとしては非常に気になるのであるし当然の感情である。だけれども、駐車場が有るわけでもないので路駐するのも気が引けるし、たくさん並んでいる小さな販売店(販売店=農場)の差もわからないし素人にはなかなか手が出しにくい物件であると言わざるを得ない、そういう流れでもって手を出していなかった。
先月、滋賀県東近江市にある道の駅あいとうマーガレットステーションにいったときのこと。農産物即売所があり、梨が飛ぶように売れてゆくではないか。みなさま数千円分の梨をごっそりと買ってゆく。我々も負けずにその梨を買ってみたところ大変うまかったので、やはり土地ごとの梨というのを味わっておくべき知っておくべきとの結論に至ったのである。自分が生活する土地の梨も知っておくべきと。
さてそれではどこで買うかという話になる。多摩川沿いの道路沿いにある販売店をいちいちチェックなどしてられない。様々な生産者の梨を集めて並べて欲しい。手軽に選ばせて欲しい。そうだ、土地の農産物を販売する場所といえばもう農協しか無いだろう。農協なんて言わないのか、JAだ。我々はもうJAを目指すしかない。
多摩川梨なら稲城であろう。稲城にあるJAの店舗といえばこいつだ。JA東京みなみ シンフォニー という店舗。午前8時40分からオープンだが人気の野菜や果物は早々に売り切れてしまうとの噂もありなるべく早い時間を狙った方が良いだろう。我々は9時半頃にここに着いた。店内の照明は控えめで内装も控えめで軒下には空のパレットが並びアレレやってんのかな?と一瞬ひるんでしまうが勢いよく入店。あった。梨である。「稲城」さすがにデカい。デカイぶん高い。一玉400円~600円ほどという値付けだった。いく種類かの袋が並んでおりそれぞれに生産者名が印刷されている。ぐぬぬ、どなたの梨が一番うまいのだ、わからん、わかるわけがない。しかしモタモタしてはいられない。なにげにどんどん人が入ってきてはさっさと購入しさっさと去って行く。
まずは「稲城」そして「秀玉」がセットになっておるのをがっしりと小脇に抱えてレジを通過した。どんな味がするのだろう。秀玉の方は一玉200円ほどの値付けであった。こいつも当然のようにでかかった。でかさ対決では甲乙付けがたい。さてこれで帰宅してしまっては意味がない。JA稲城から鶴川街道を経て15分ほどで川崎市のJAにも足を伸ばしてみたい。
川崎にはJAの店舗は一つしかない。ファーマーズマーケット・セレサモス だ。こちらはわりと大規模な店舗である。駐車場も100台分ある。こちらも早い時間に行っておくほうが無難であろう。10時オープンだというのでそれにあわせて到着するよう移動を開始した。さあ見えてきたぞ、と同時にヤバイこれはヤバイという雰囲気がひしひしと伝わってきた。我々が駐車場入り口に到達したのが10時2分。この時点で既に駐車場に入場する渋滞が開始している。これはしばらく入れないのではないか。馬鹿正直に待っても仕方ないので私は駐車場待ちをし妻に車を降りて先にいってもらった。
無事駐車が完了し店舗入り口にまで来てみると行列がある。係員の持っている札を見ると「レジ待ち行列最後尾」な、なんやてー!わりと大きな店舗であるが開店から10分とたたずに店の壁際をぐるーっと回る大行列ののち並びきれずに店の外まで伸びている。店内にはたくさんの野菜や果物が並べられ、それぞれには生産者の名が印刷されており生産者ごとに微妙に値付けが違うのが面白い。そしてまあ当然のように新鮮でありそこそこ安価である。旬の物に手を出すのが正しい。おっと野菜を見て油断していてはいけない梨を確保しなければならない。梨のコーナーに向かうとこれまた大量の梨が積み上がっており、もう僕ここに住む!ここで梨食って暮らす!という気持ちになってしまうがグッとこらえてスタンダードな「幸水」、そしてご当地モノである「長十郎」を確保した。同じ売り場にある稲城は既に最後の1個となっており、おっさんとおばさんが取るか取られるかの攻防を繰り広げていた。最後の1個の稲城は大玉であり600円であった。大変うまそうであった。
開店と同時に到着は甘え。開店前までに駐車場に入っておくくらいでないと生鮮の戦いには勝てない。安定共有がウリのスーパーとは違ってその日入荷できたモノがそのまま並ぶという直売所はほしいものが確実に入手できるとは限らない。人気の品種は早々に荒らされる。早起きは三文の得どころではない。早起きによって一日ががぜん生き生きとするのだ。
帰宅してとりあえずうまそうな梨を並べてみた。大きさの比較のために iPhone4 を置いてみた。
大きさの話はどうでも良い。どうでも良くはないけどあんまり重要ではない。うまいのかという点が重要だ。まずは長十郎を食べた。長十郎は水分が少なめで硬めではあるが甘みが強いのが特徴。たしかにガリッという食感。植物の実を食っているという感覚である。そして甘い。子供ちゃんが「サトウキビをかじっているような気持ちになる、おいしい」と感想を述べていた。さすがにそんなに硬くて繊維質のカタマリではないがいわゆる水分たっぷりのジューシィな梨に比べると硬めである。ガリガリと食いたい向きには良いだろう。
次に幸水を食べた。まあ幸水である。可もなく不可もなく幸水以上ではなく幸水以下でもない。直前に甘い長十郎を食べたせいで幸水の甘みをあまり感じなかったのがもったいないポイントだった。水分と歯ごたえは十分だよね、という普通の感想であった。
さてしばらくの時間をおいてから本命の稲城。さすがにえらそうな名で売られる高い玉は違うと言わざるを得ない。コレは文句なしである。買いに行って良かった。溢れ出る水分、凝縮された甘み、しゃりっとした歯ごたえ、おかわり!甘みの質が違うのである。こういう言い方は少し違うかもしれないが、甘味料入れた?ていうくらいに贅沢に甘みを味わえる。
これから数週間ごとに清玉、二十世紀、豊水、新高、と販売されるものが変わってくる。次に楽しみなのは稲城と同様に大玉で酸味が無く糖度の高いと言われる新高である。来月また駐車場争いの行列に参加したいと思う。ああうまかった。
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